会社のパソコンにPython3をインストールして仕事の効率化を図りたい、という方に向けてインストール方法を解説します。
会社のパソコンなのでWindow10を対象とし、Active Directoryによるポリシー制御やプロキシサーバーを経由してインターネットに出る必要があるなど、ある程度制約がある環境を想定しています。
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Python3のインストール方法
Python3のインストール方法は2つあります。
- Microsoft store版
- 公式サイトが配布するフルインストーラー版
Microsft store版は簡単にインストールできて便利なのですが、Active Directoryで制限されてMicrosoft storeが使えない場合がありますので公式サイトからインストーラーをダウンロードする方法をご紹介します。
また、公式サイトのものであれば簡単にバージョンを切り替えてPython3を実行する機能が付属しますので、公式サイトからダウンロードした方が便利で良いでしょう。
それでは、以下の手順でPython3のインストールを実行してください。
ダウンロードページへアクセスし「Downloads」をクリックすると以下のようにダウンロードボタンが表示されるのでクリックします。
クリックすると自動的にインストーラーがダウンロードされます。
ダウンロードしたインストーラーを実行します。
以下の2カ所にチェックを入れて「Install Now」をクリックします。
- Install launcher for all users (recommended)
- Add Python 3.9 to PATH
インストールが完了すると次のような画面が表示されるので「Close」ボタンをクリックします。
これでインストール完了です。
Python3を実行してみる
それではコマンドプロンプトで実行してみましょう。
スタートボタンをクリックすると「Windows システムツール」内に「コマンドプロンプト」がありますからクリックします。
次のようにコマンドプロンプトが起動するはずです。
コマンドプロンプトが起動したら python
と打ち込んでエンターキーを押下してください。次のようにpythonが起動します。
終了するにはCtrl
ボタンを押しながら z
を押すと「>>> ^Z」と表示されますから、その後エンターキーを押します。
PythonランチャーでPythonのバージョンを切り替える
複数のバージョンのPythonがインストールされているとバージョンを切り替えて実行する亊ができます。
主に開発者向けの機能なので知らなくても大丈夫ですが、覚えておくと便利なので解説します。
インストールされているバージョンを確認する方法
現在インストールされているPython3は py --list
コマンドで確認する亊ができます。アスタリスク(*)が付いている箇所が実行されるバージョンです。
C:\Users\name>py --list Installed Pythons found by py Launcher for Windows -3.9-64 * -3.6-64 C:\Users\name>
バージョン3.6へ切り替えるには py -3.6
と入力してエンターキーを押します。
C:\Users\name>py --list Installed Pythons found by py Launcher for Windows -3.9-64 * -3.6-64 C:\Users\name>py -3.6 Python 3.6.1 (v3.6.1:69c0db5, Mar 21 2017, 18:41:36) [MSC v.1900 64 bit (AMD64)] on win32 Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information. >>>
このようにしてバージョンを切り替えます。通常は最新版のPythonを使えば良いでしょう。py -3.9
コマンドで戻すまで今後ずっと 3.6 が実行されるので注意してください。
Python仮想環境を作る
仮想環境を使わない場合、この後解説するPythonのパッケージがグローバルにインストールされます。グローバルにインストールすると、どこにスクリプトファイルを配置してもインストールしたパッケージを使う亊ができます。
しかし仮想環境を使うとパッケージがグローバルにインストールされなくなります。
開発現場ではパッケージの種類やバージョンを厳密に管理する亊が多く、開発するプログラム毎にPython環境を作成して管理する亊がよくあります。そのような場合に仮想環境を使います。
もちろん、仮想環境を作ればそれだけディスクの消費量が増えていきます。
開発するプログラム毎に環境を分ける必要があるのは本格的な開発現場くらいですから、仕事の効率化を目的として個人用のツールを開発するような場合は無理して仮想環境を作る必要はありません。
Python仮想環境の作り方と使い方
仮想環境は python -m venv <仮想環境名>
コマンドで作成します。
例として「MyApp」というディレクトリを作成し、そこにプログラムのコードを配置するとしましょう。その場合は次のようなコマンドを実行します。
C:\Users\name> mkdir MyApp C:\Users\name> cd MyApp C:\Users\name\MyApp> python -m venv venv
「venv」というのがPythonの仮想環境です。この名前は自由に変える亊ができます。
仮想環境に切り替える
仮想環境を作成しただけでは使えません。仮想環境に切り替える必要があります。「venv」ディレクトリに「Scripts\activate.bat」とうバッチファイルがありますから、このバッチファイルを実行します。
C:\Users\name\MyApp>venv\Scripts\activate.bat (venv) C:\Users\name\MyApp>
仮想環境に切り替わるとプロンプトに「(venv)」と表示されるようになり、仮想環境で作業している亊が分かります。
仮想環境から出る場合は deactivate
コマンドを実行します。
(venv) C:\Users\name\MyApp>deactivate C:\Users\name\MyApp>
pipでPythonのパッケージを管理する
Pythonはpipでパッケージを管理します。仮想環境を使っている場合は「venv」ディレクトリにパッケージがインストールされ、グローバル環境にはパッケージがインストールされませんのでご注意ください。
プロキシ設定する
社内パソコンを利用している場合、これから実施するパッケージのインストールに失敗する可能性があります。
理由はpipが社内プロキシを経由してインターネットと通信する必要があるためです。pipはインターネットからパッケージをインストールしますのでパッケージをインストールができない場合は以下の手順でプロキシ設定を試してください。
プロキシを使っているか調べるにはコマンドプロンプトで netsh winhttp show proxy
を実行します。
プロキシが設定されていなければ次のように表示されます。
> netsh winhttp show proxy 現在の WinHTTP プロキシ設定: 直接アクセス (プロキシ サーバーなし)。
プロキシが設定されている場合は次のように表示されます。
> netsh winhttp show proxy 現在の WinHTTP プロキシ設定: プロキシ サーバー: 192.169.2.254:8080 バイパス一覧 : hogehoge.com:<local>
上記のようにプロキシサーバーが設定されている場合は「プロキシ サーバー」の欄に表示されている内容をメモしてください。
以下の2つの環境変数を追加します。
- HTTP_PROXY
- HTTPS_PROXY
「新規」ボタンをクリックします。
変数名は「HTTP_PROXY」「HTTPS_PROXY」、変数値はプロキシのアドレスを入力して「OK」ボタンをクリックします。
注意点として「http://」で始まるように変数値を設定するようにしてください。
このように「HTTP_PROXY」「HTTPS_PROXY」が設定されている亊を確認します。
これでプロキシ設定は完了です。
パッケージのインストール方法
pip
あるいは python -m pip
コマンド を実行します。どちらでも良いのですが、最初のうちは python -m pip
コマンドを実行した方が間違いがなくて良いでしょう。
最初に python -m pip install --upgrade pip
を実行しアップデートしておきます。
(venv) C:\Users\name\MyApp>python -m pip install --upgrade pip Collecting pip Downloading https://files.pythonhosted.org/packages/cd/82/04e9aaf603fdbaecb4323b9e723f13c92c245f6ab2902195c53987848c78/pip-21.1.2-py3-none-any.whl (1.5MB) 100% |████████████████████████████████| 1.6MB 1.3MB/s Installing collected packages: pip Found existing installation: pip 9.0.1 Uninstalling pip-9.0.1: Successfully uninstalled pip-9.0.1 Successfully installed pip-21.1.2 (venv) C:\Users\name\MyApp>
それでは、例としてSSL証明書作成などが可能となる「pyOpenSSL」をインストールしてみましょう。
python -m pip install pyOpenSSL
コマンドでインストールできます。
(venv) C:\Users\name\MyApp>python -m pip install pyOpenSSL Collecting pyOpenSSL Using cached pyOpenSSL-20.0.1-py2.py3-none-any.whl (54 kB) Collecting six>=1.5.2 Downloading six-1.16.0-py2.py3-none-any.whl (11 kB) Collecting cryptography>=3.2 Downloading cryptography-3.4.7-cp36-abi3-win_amd64.whl (1.6 MB) |████████████████████████████████| 1.6 MB 6.4 MB/s Collecting cffi>=1.12 Downloading cffi-1.14.5-cp36-cp36m-win_amd64.whl (178 kB) |████████████████████████████████| 178 kB … Collecting pycparser Downloading pycparser-2.20-py2.py3-none-any.whl (112 kB) |████████████████████████████████| 112 kB 3.2 MB/s Installing collected packages: pycparser, cffi, six, cryptography, pyOpenSSL Successfully installed cffi-1.14.5 cryptography-3.4.7 pyOpenSSL-20.0.1 pycparser-2.20 six-1.16.0 (venv) C:\Users\name\MyApp>
pipのよく使うコマンド
パッケージをインストールする
pip install <パッケージ名>
パッケージをアンインストールする
pip uninstall <パッケージ名>
パッケージをバージョン指定でインストールする
pip install <パッケージ名>=<バージョン>
インストール済みのパッケージを表示する
pip list
アップデート可能なパッケージを表示する
pip list -o
アップデート不要なパッケージを表示する
pip list -u
インストール済みのパッケージをバージョン表記付きで表示する
pip freeze
次のように出力結果をファイルに保存する際によく使います。
pip freeze > requirements.txt
パッケージをアップデートする
pip install -U <パッケージ名>
requirements.txt から一括インストールする
pip install -r requirements.txt
まとめ
社内パソコンでPython3をインストールしようとして問題が発生するのは大抵プロキシサーバーによるものです。そこさえクリアできればPython3で業務効率化するためのツールをバリバリ開発できるようになると思います。
是非みなさんもPython3で自分好みのツールを開発してみてください。