まえがき

TeraTermをご利用いただきありがとうございます。

TeraTerm(テラターム)は、1994年から1998年にかけて寺西高(てらにし たかし)氏により作成された、Windows用ターミナルエミュレータです。TeraTermはシリアルとtelnet接続をサポートし、リモートホストや組み込み機器の端末操作を行うためのソフトウェアです。マクロ機能も搭載されており、当時はパソコン通信の自動操縦を行うためにしばしば利用されていました。

TeraTermはフリーソフトとして公開され、1997年には窓の杜の「オンラインソフトウェア大賞97」に入賞しています。TeraTermはプラグイン対応をしているため、たくさんのTeraTerm用プラグインが公開されています。その中で、Robert O'Callahan氏によるTTSSH(An SSH Extension to Teraterm)は有名であり、TTSSHをTeraTermに組み込むことで、SSH1プロトコルによるSSH接続が可能となっていました(現在、Robert氏のホームページは消滅)。

TeraTermの最終バージョンは 2.3 で、対応OSはWindows95/NTです。初期のWindowsでは珍しく、TeraTermもTTSSHもソースコードのすべてが公開されています。ただし、TeraTermのソースコードを変更したバイナリを配布するには作者の許可が必要であり、昨今でいうところのオープンソースソフトウェアではありません。
本文書では、寺西高氏によるTeraTermのことを「オリジナルTeraTerm」や「TeraTerm2.3」と呼称しています。

TeraTermは長らく日本におけるターミナルエミュレータの代名詞として、ユーザに親しまれてきましたが、1998年に開発が終了しているために、最新のWindowsへの対応や新しいプロトコルへのサポートがなされていませんでした。ソースコードは公開されているため、ユーザの手によりIPv6版や半透明版などの派生バージョンが登場しました。しかし、原作者へ連絡が付かない状態であったために、これらの派生バージョンはパッチ形式で配布されていました。なにより、完全なバイナリを配布するには原作者である寺西高氏の許可を取る必要があるために、TeraTermの開発を第三者が引き継ぐことが難しい状況となっていました。

2004年9月に寺西高氏に連絡が取れ、同年11月にSourceForge.jpへプロジェクトを立ち上げ、TeraTermのオープンソース化を実現しました。TeraTermがオープンソース・ソフトウェアであるとするために、BSDライセンスの下に"TeraTerm Project"が発足しました。このプロジェクトはTeraTerm後継版として開発が進められており、「UTF-8 TeraTerm Pro with TTSSH2」と呼ばれています。
UTF-8 TeraTerm Pro with TTSSH2のコミュニティは日本だけではなく、海外(カナダ)にも存在し、日本発の世界へ向けたオープンソース・ソフトウェアとして活動が続けられています。

今後ともよろしくお願いいたします。

Japan - Tokyo, August 2007
TeraTerm Project Team